蓄光と蛍光

蓄光材と蛍光材の違いについて、またそれぞれの特長や用途などについて説明いたします。(電磁波についも少し説明いたします。)

蓄光材について
蛍光材について
電磁波について


■ 蓄光材について

●太陽光や蛍光灯などの光エネルギーを吸収して発光し、光の照射が停止した後も暗闇で長時間、徐々に光を放出する材料です。夜光、燐光とも言われます。

●吸収する光エネルギーが強ければ強いほどより明るく、長時間発光を続けます。エネルギーが弱ければ発光も暗く、 時間も短くなります。 → 蓄光塗料の性能

●弊社で使用している蓄光材は、アルミナ系酸化物の無機顔料であり、1000℃以上の温度で溶融されて作られている為、耐候性や耐熱性に対して極めて安定しており、半永久的に発光を繰り返します。

●蓄光材の安全性について、1990年以前まで主流であった夜光(自発光タイプ)には放射線物質が含まれていましたが、それ以降主流となっているアルミナ系酸化物には有害物質は全く含まれず、極めて安全な材料です。
→ 放射線に関する詳細については、 蓄光塗料と放射線 のページを参照してください。

※赤色蓄光材に関しては硫化物系顔料の為、耐侯性・耐熱性はありません。


■ 蛍光材について

● 蛍光とは、紫外線などの電磁波エネルギーを吸収して 電子が励起し、その電子が基底状態に戻る際に異なった電磁波を発生させる作用のことです。

●例えば緑色蛍光体は、365nmの紫外線を受けると530nm付近の可視光を発生させます。赤色であれば、365nmを受けて630nm付近の光を発生させます。

●蛍光材は、励起エネルギーが照射されている間だけ蛍光作用を示しますが、エネルギーが与えられなくなると瞬時にエネルギーを放出しきってしまい、蓄光の様な残光性はありません。

●蛍光材料には、蛍光染料、有機蛍光顔料、無機蛍光顔料があります。それぞれ用途や目的に応じて、様々なシーンで使用されています。

●弊社で主に使用している蛍光材は無機顔料タイプで、1,000℃以上の温度で溶融されて作られている為、耐候性や耐熱性に対して極めて安定しており、半永久的に発光を繰り返します。

●放射線物質やその他有害物質は含まれていません。

●蛍光材はどんな物に使用されているか?代表的なものを紹介します。

項 目 説 明 内 容
蛍光ペン 筆記具としてで使用されている周知のペンです。
ペンのインキに使用されている蛍光材(染料)が可視光により励起を受け、明るい場所でも少し光って見えるというもの。
暗所でブラックライトを照射すると一段と良く光ります。しかし、材料は蛍光染料であるため強い耐候性はありません。
蛍光増白剤 白いシャツや紙などは、より白く見せる為に蛍光材(染料)が添加されている。上記同様、可視光を受けて励起し、白さを引き立てる役割をしています。
シャツなどの繊維の黄ばみを補うために、洗濯洗剤に配合される事があります。
蛍光染料が配合されているシャツや紙などは、ブラックライトを照射すると更に発光するため見分けができます。
蛍光灯 蛍光灯に使われている蛍光材は無機顔料です。
蛍光灯のガラス管の内部に白色の蛍光体を塗り、ガラス管の中で電気的に紫外線(254nm)を発生させ、この紫外線により励起を受けて蛍光体が可視光線を発生させる仕組みです。
当社でもこのタイプの蛍光材料を使用しています。
蛍光塗料
A
DIYショップなどで市販されている、見た目も色鮮やかな蛍光塗料は有機顔料を使用しています。
視覚的に鮮やかなので目を引く様な場所や、注意喚起などのマーキングとして使用されています。
顔料といえ有機系の材料なので、色によっては耐候性に限界があります。
蛍光塗料
B
通常時(照明下)では白色・乳白色または無色透明で、暗所でブラックライトを照射するとカラフルに発光するタイプの塗料は、特殊な蛍光材料を使用しています。
昼間と夜間を異なったイメージにしたり、インビジブル塗料として隠し絵に使用することができます。
また、蛍光トレーサーとして表面状態の検査としても使用されます。


■ 電磁波について

●電磁波とは、X線・γ線などの放射線、太陽光線(紫外線・可視光・赤外線)及び電波(マイクロ波、テレビ波、ラジオ波など)を総省して言います。

●周知の電磁波の波長や特徴・用途などを説明します。

項 目 説 明 内 容
X線 紫外線よりも更に波長が短い、1pm~10nm程度の電磁波のこと。
1895年にレントゲン氏が発見した為、レントゲン線と呼ぶこともある。
紫外線 可視光の紫より短い波長を紫外線といい、10nm~380nm程度の目に見えない波長。
光のスペクトルで紫より外側にあり、UltraVioletと言いUVと略される事がある。
紫外線には波長別にUV-A(315~380nm)、UV-B(280~315nm)及びUV-C(200nm~280nm)があり、可視光に近いUV-Aの方が安全性が高い。
可視光線 人が目に見える電磁波で、380nm~780nm程度の長さの波長をの事を言う。それ以外の電磁波は目に見えません。
可視光を分光すると、380nm付近の短かい波長は紫色で、波長の中心近くの500nm付近は緑色に、780nm付近の長い波長は赤色に見えます。
赤外線 可視光の赤より長い波長を赤外線といい、780nm~1mm程度の波長で可視光と電波の間に属する電磁波。
紫外線同様、近赤外線、中赤外線、遠赤外線に分けられる。
赤外線通信や赤外線ヒーターなどが代表的な使用例です。
マイクロ波 電波の中では最も波長が短い電磁波で、100μm~1m程度の波長。
周知の通り、衛星テレビ放送、携帯電話、電子レンジなど用途は非常に多岐にわたる。